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『ブリッジオブスパイ』トムハンクス主演の評価とレビュー

 

 

 

ブリッジオブスパイ

スティーブン・スピルバーグ監督の最新作『ブリッジオブスパイ』の全国ロードショーがいよいよ新年1月8日に始まる。

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今回の作品は、史実にもとづき、冷戦当時の時代背景の中で米ソが繰り広げる、スリルとサスペンスをスピルバーグ監督は、完璧なまでに精巧にスクリーンで映し出していると言える。

 

ストーリー

時代は、1962年。アメリカのU2偵察機がソ連に打ち落とされた事件をきっかけに、ソ連に取り押さえられたアメリカ人パイロット『フランシス・ゲーリー・パワーズ』と先にソ連の軍事スパイとして、アメリカ国内で逮捕されていた『ルドルフ・アベル』の捕虜交換交渉がメインストーリーだ。

 

アメリカ側では、もう一人、捕虜交換交渉の真っ只中、最悪のタイミングで東ベルリンで捕らえられた、アメリカ人学生の『フレデリック・プライヤー』の存在も忘れてはならない。なぜなら、この若者の存在が、その後のアメリカ側の交渉を大いに不利な展開にさせるからである。

 

米ソ間の交渉は、ほとんどチェスの駒のようにお互いの政治的思惑をオブラートに包みながら、腹を探りあい、時にはだましながら、自国の有利な方向へ進めていく。それらの心理戦をスピルバーグ監督は、実に上手く映し出している。

 

トム・ハンクス

主役のジェームスBドノバンを演じるのは、オスカー賞をはじめ数々のタイトルを獲得している名優『トム・ハンクス』だ。今回彼は、アメリカ代表の交渉担当者と言う難しい役を抜擢されるのだが、そこは、『トム・ハンクス』の持つ役者としての技量で、冷戦と言う暗い時代背景にも関わらず、彼の持つ独特の人間味のある演技で、米ソ間の交渉を上手くまとめ上げるのである。

 

はじめは、保険分野の弁護士として活躍していた『ドノバン』があるきっかけからFBIに逮捕されたルドルフ・アベルの弁護を引き受けることになる。そして、1962年U2偵察機撃墜事件が発生し、ソ連側に捕らえられた『フランシス・ゲーリー・パワーズ』との捕虜交換交渉にその手腕を発揮するのである。

 

『マット・シャルマン』のオリジナル・ストーリーにこちらもアカデミー賞受賞経験のある『ジョエル&イーサー・コーエン兄弟』が脚本を担当。まさにハリウッドの最高峰の才能が集結した作品と言えよう。

 

 

 

スパイ

映画は、冒頭ブルックリンのアパートの一室で、『マーク・ライランス』演じるルドルフ・アベルの、そのやせ細ったからだと貧相な表情が映し出され、永年、ソビエトのスパイとして二重生活を送ってきた疲れを色濃く映し出すところから始まる。

 

スパイ映画の特徴として、オープニングのシーンは、いつも静寂からはじまる。『ブリッジオブスパイ』でも冒頭では、ソビエトのスパイ、アベルが無言でスケッチをするシーンから始まる。この静寂こそ、マーク・ライランス演じる『ルドルフ・アベル』の登場には、ふさわしい演出であり、スピルバーグ監督の意図を感じる。

 

終始物静かで、やせこけ、肩を落とし、自信のなさそうなソビエトのスパイ男を『マーク・ライランス』が実に上手く演じている。

 

アベルは、この時すでにFBIからスパイ容疑でマークされており、じきに逮捕されるのである。ルドルフ・アベルの逮捕が、『ブリッジオブスパイ』のストーリーの切り出しであり、その後に続く、U2撃墜事件と捕虜交換交渉の核心部分に話が進展していくのである。

 

映画が進むにつれて、移り変わる、登場人物の心理や感情の変化をスピルバーグ監督は、仔細に映像に取り込んでいる。たとえばアベルとドノバン、アベルとパワーズ、そして、アメリカ合衆国とソビエト連邦。

 

彼らは、お互いの立場と権利を鏡のように映し出しながら、時には自信たっぷりに、時には自虐的にストーリーを進めていく。

 

トム・ハンクス演じる『ジェームスBドノバン』は、当初敵国スパイの弁護を引き受けたことで、周囲から非難され、彼の家族にさえも危険が及ぶようになる。そんな苦悩の下でドノバンは、自問自答を繰り返し、自分の行動の正しさと法の権利を貫くのである。

 

時代描写

スピルバーグ監督は、1950年から1960年代の時代背景とその時代の人々の生活そのものも、描写的にスクリーンに映し出している。たとえば、ソビエトスパイとして二重生活を送るアベルのアパートメントでは、台所で料理をする近隣の音が聞こえ、実社会とスパイ生活のはざ間を描き、そして、『ジェームス・ドノバン』の家庭では、1950年代のごく一般的なアメリカの家庭が表現されている。

 

映画では、それほど多くドノバン家族の登場はないのだが、ドノバンの妻『メアリー』を演じるのは、『ゴーン・ベイビー・ゴーン』にも出演していた『エイミーライアン』が味のある演技をみせてくれる。

 

スティーブンスピルバーグ監督

スピルバーグ監督の魅力は、何と言ってもその多面性だろう。E.T、ジュラシックパーク、インディージョーンズに代表されるSFタッチのアクション映画やシンドラーのリストなどのシリアスなドキュメンタリーなど、その表現力は幅がひろい。

 

スピルバーグ監督は、『ブリッジオブスパイ』の中でも多少のアクションシーンを盛り込んでおり、助演俳優の『ピーター・マックロビー』『ミハイル・ゴアボイ』などの名演技が、映画にスパイスを利かせている。

 

冷戦当時の描き方など、全体的によくまとまった映画だと言えよう。そして、スピルバーグ監督、トム・ハンクス主演、コーエン兄弟脚本と映画界の巨匠たちが、才能を持ちより、作り上げた傑作である。したがって、アカデミー賞の有力候補になることは、間違いないだろう。

 

まとめ

欲をいえば、『ルドルフ・アベル』がどのようにして『ジェームスBドノバン弁護士』に心をひらき、理解や尊敬の念が芽生えてゆくのか、もう少し説明的な描写がほしいところでもある。

 

なお、映画の題名『ブリッジオブスパイ』は、冷戦当時実際に捕虜の交換がされたドイツの『グリーニッケ橋』のことを指し、ドノバンの交渉を通じて、2国間の架け橋になると言う意味である。

 

2016年1月8日全国ロードショー! お楽しみに!!