東京五輪汚職疑惑JOCや邦銀関与も指摘・フランス検察本格捜査
東京五輪買収工作本格捜査、海外でも大きく報道
2020年東京オリンピック招致に関する買収工作を捜査しているフランスの検察当局は、約2.3億円の賄賂がパパ・マサタ氏をはじめとする複数のIOC関係者に支払われたことを正式に確認した。5月12日付けイギリスのガーディアンス紙が報じた。
フランス当局から汚職捜査の対象になっているのは、アフリカのラミン・ディアック氏と息子のパパ・マサタ氏。この件に関し日本政府では一貫して買収工作の関与を否定している。
事件の発端は今年3月にフランス検察当局が発表した2016年リオ五輪と2020年東京五輪に関する広範囲なIOC内部の汚職事件。
BBC
ブラック・タイディング
フランス当局は2013年の7月と10月の2回にわたり総額2.8億シンガポールドルに上る巨額の資金がパパ・マサタ氏が関係する「ブラックタイディング」と呼ばれる怪しい会社に振り込まれたことを確認した。
資金には「東京2020年オリンピックゲーム・入札」と書かれており、日本の銀行を経由してブラックタイディングの利益として振り込まれた。フランス当局は一連の捜査からブラックタイディングとIOCの候補地選定委員との間で金銭のやり取りがあった事実をつかんだ。
ラミンディアック・黒い一族
ラミン・ディアック氏は現在82歳。元IAAF(世界陸連)の会長を務め、IOC委員も歴任した。しかしラミン氏は東京五輪が決定した2013年直後にIOC委員を辞任している。
息子のパパ・マサタ氏はアフリカのセネガルに滞在している模様で、昨年12月の英BBCとのインタビューで自身と父親の無実を訴えた。
ラミン・ディアック氏は、すでに昨年汚職とマネーロンダリングの容疑でフランス検察当局に逮捕されており、その容疑にはロシアのドーピング疑惑もみ消しに関する汚職事件も含んでいるという。
息子のパパ・マサタ氏は父親の元でIAAFマーケティングコンサルタントをしているが、彼もまたフランス検察の捜査対象となっており、インターポールを通じて身柄の引渡しを要求している。
調べによるとラミン・ディアック氏と息子たちのIOCを舞台にした汚職、買収工作は2002年に開催された米ソルトレイク冬季五輪の前から組織的に行われていたと言う。
東京五輪招致疑惑
東京五輪に関する汚職疑惑が最初に出てきたのは今年1月のこと。アンチドーピングエージェンシー(WADA)が進めていたドーピングに関する調査で、ラミン・ディアック氏のもう一人の息子カリル氏とトルコ五輪委員との会話を入手。
その会話の中でスポンサー名目で400万ドルから500万ドルの金がJOCからIAAFに流れたと話していた。賄賂を支払わなかったトルコ五輪委員はその話を聞いて、ラミン・ディアック氏からの協力を失ったことを確信したという。
東京五輪委員会ではWADAが告発した会話の内容を「我々の理解を超えること」と回答している。
今年2月にはWADAチーフのディック・ポンド氏がIOCの健全性を「きわめて確か」と強調していたばかりだが、その1ヶ月後にはフランス検察当局が捜査に乗り出した形だ。バッハ新会長の元で新しい組織つくりを進めてきたIOCとしては面目丸つぶれといえるだろう。
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